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一般社団法人 島田青年会議所

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​【今年も走るよ きかんしゃトーマス号『大井川鐵道』】

1年を通してSLが走ったり、引退を迎える私鉄車両に第2の人生を歩ませたりと、昔から鉄道ファンの憧れだった大井川鐵道。近年「きかんしゃトーマス号」が本線を走るようになり、その人気は新たな層をつかみました。我々島田青年会議所では特に青少年育成事業において地域の子供たちに触れてもらう機会が多い大井川鐵道ですが、今回より深く知るべく、経営企画室 課長 山本豊福様にお話を伺いました。

Q.1 大井川鐵道でSLを走らせるようになったきっかけは何ですか?

その昔、SLはどこの路線でも走っており、大井川鐵道も同じようにSLは走っていました。今のような客車主体ではなく、もともとは大井川上流部に建設する発電所やダムの建設資材の輸送、上流部からの木材の搬出といった貨物輸送が主体でした。1949年に電化開通し、SLの運転がなくなりましたが、1960年代後半になると発電所の関係者は建設事業の終わりとともに流出し、また、林業も外材に押されて縮小してしまうと必然的に乗車人員は減少していきました。徐々に縮小していった大井川鐵道に名鉄さん(名古屋鉄道株式会社)が資本参画すると、千頭~川根両国間での小型SLの復活といった来訪を促す「観光路線化」に取り組むようになりました。当時SLは「前世代のものであり、ただ消えゆくもの」として一般的には捉えられていましたが、大鉄は古いものをなるべく製造時の姿で維持し、動かすという逆転の発想で「SLの保存運転」に取り組んだのです。そうすると地域住民からも本線でのSL運転を望む声が高まるようになり、1976年、ついに金谷~千頭間でSL列車の復活を果たし、現在に至っています。

Q.2 車齢の古いSLや電車を維持していく中でどのようなことに苦労していますか?

「部品の確保」と「技術の継承」の2点に尽きます。図面があるものもあればないものもある、同じ型式の列車だからといっても転用できない部品もある、そのような車両を維持していくためにこの2点は欠かせません。部品取り用に車両を購入し、部品の確保に努めたり、図面を見比べて共通点を探したり、整備できる技術者を育てたりと、何とか克服して車両を維持しています。何年間かかかってですが、型式の違うSLのボイラーを移植したこともあります。それができたのはSLを「一時代を築いた文化財」、という認識のもと維持、管理しているからだと思います。

Q.3 今年で4年目になりますが、きかんしゃトーマス号が今年も走ります。そもそもきかんしゃトーマス号が走るようになったきっかけは何ですか?

京都~大阪間を結ぶ私鉄に『京阪電車(京阪電気鉄道株式会社)』があります。大井川鐵道の客車には全国各地から第2の人生を歩みに来た客車が使われており、京阪電車さんからきた電車が走っていたこともありました。その京阪電車が2011年に、恒例のトーマスのラッピング電車を走らせる「京阪電車きかんしゃトーマス号2011」イベントを行い、

スタンプラリーや記念撮影なども実施しました。こういったご縁もあり、京阪電鉄からソニー・クリエイティブプロダクツを紹介いただきました。

ソニー・クリエイティブプロダクツ側でも、トーマスの日本での走行は20年来の夢であり、両者の協議から大井川鐵道本線でのきかんしゃトーマスの走行が決定しました。

ℂ2017 Gullane (Thomas) Limited.

Q.4 きかんしゃトーマス号が走るようになって、沿線にどのような変化が起こりましたか?

まず、ギャラリーが増えました。今まで黒いSLを写真に撮る人が多かったのが今度はきかんしゃトーマス号を写真に撮る人が圧倒的に増えました。あとこれは大井川鐵道にとってですが、乗客の年齢層。50~70代の乗客が多かったのが、きかんしゃトーマス号となると1~3歳くらいのお子様を連れた30代くらいのご家族、もしくはその上の世代を含めた3世代の乗客が圧倒的に多いです。言いかえればきかんしゃトーマス号が走ることで全国各地から今まで来たことが少なかった年齢層の方を沿線地域に導いているのです。

Q.5 きかんしゃトーマス号の影響力は大きいと思われますが、その他に大井川鐵道が独自に行っている観光企画を教えてください。

たくさんありますが、1番メジャーなのはビール列車。これは今年で33年目を迎える企画列車です。あと、冬に登場するおでん列車。これは5年くらい行っていますね。他には星空列車。環境省の調査によると川根本町が日本で2番目に星空がきれいに見える町なのだそうです。こちらは井川線で行われ、奥大井湖上駅で停車して何もない所で星を見るという企画です。井川線では他にも吟醸列車というお酒を楽しむイベントもつい先日行われたばかりです。また、一般の乗客ではなく、『撮り鉄』向けの企画で、夜SLを走らせて撮影会をするという鉄道ファンに向けた企画もあります。

Q.6 SLを見る方、乗る方等、地域の皆さまにメッセージをお願いします。

まず、まだ乗ったことがない人には乗ってほしいです。島田市は約10万人の住む街ですが、半数以上の人が大井川鐵道とは関係ないもしくは大井川鐵道がなくても困らない人だと思います。そういう人にこそ乗ってもらい、そこでもし良いと感じてもらえたなら「良かった」という想いをみんなに言ってほしいです。それが地域の財産であり、大井川鐵道にとって何よりものバックアップになります。また、SLやきかんしゃトーマスが走ると沿線の方は手を振って見送ってくださる方がたくさんいます。これはとても微笑ましい光景で、乗客の方に「この地域はとても温かい地域」なのだという声をたくさんもらいます。この手を振るという光景がずっと続くと嬉しいです。みんな優しい気持ちになれます。沿線の方が手を振ると乗客が手を振りかえす、この何気ない見えない関係性が特に思い出に残るようで、またSLに乗ってみようというきっかけになるようです。

ℂ2017 Gullane (Thomas) Limited.

我々がSLに向かって手を振るのは思えばずっと昔からの習慣だったのかもしれません。しかし、その行為がこの地域の優しさや、温かな風土を無意識のうちに客車に乗っている誰かに伝えているのだと再認識しました。そして筆を執る私の娘も毎日SLに手を振って大きくなっています。

​                                      インタビュー記事  山本雄志